きっかけ

今回は私が今の考え方に至ったきっかけを書きたいと思います。

私がオステオパシーの学校で学んでいるときに、触診の練習をしていると、同級生で背骨の右側の筋肉だけが極端に盛り上がっている人がいました。

また彼はいつも内臓の調子が悪く、自律神経系の経路から考えても筋肉の異常な緊張が関係しているような気がしました。

オステオパシー的にはその原因や、他の部位との関連なども考えていかなければいけませんが、まだ何もわからなかったと言ってよい当時の私は、とにかく、その筋の緊張を取りのぞいてあげようと思い、筋肉を押したり、伸ばしたりして、なんとかその盛り上がりを取ってあげようとしましたが、ダメでした。

その後、学校で繰り返し触診の練習をしているうちに、私は異常な緊張を起こしている筋肉が骨に付着する部分には、なにか普通とは違う感触があることに気が付きました。

それはゼリーのような感触だったり、グミのような感触だったり、あるいはもっと硬い感触だったりと様々ですが、正常な筋肉にはない何かが、その部分にくっついている感じでした。

さらに、その部分を押すと誰もが強い痛みを訴えました。

押すと痛みを発する場所として知られているものに、アメリカのジャネット・トラベルM.Dのトリガーポイント、またローレンス・ジョーンズD.Oの圧痛点(テンダーポイント)がありますが、トラベルM.Dが書いたトリガーポイントマニュアル、やジョーンズD.Oが書いたストレイン・カウンター・ストレイン(理学療法士の業界ではポジショナルリリースセラピーと呼ばれているものです)を読んでも、圧痛のある場所に何かが付着しているという記述はありませんでした。

またスティーブン・ティパルドスD.Oのフェイシャル・ディストーションモデル(以前はオーソパシックメディスンと呼ばれていたものです)という方法にコンテニアム・ディストーションという考え方がありますが、これは筋肉の引っ張りにより骨質が引っ張り出されているという考え方で、骨質を押し戻すという考えのもとに、かなり強力な力で圧痛のある部分を強く押さえつけます。

ただでさえ痛い部分を強力に押さえつけるわけですから、される側は激痛に耐えなければなりません。

私が触診で感じていたものにも、かなりの硬さのものはありましたが骨質という感じでもなかったので、やさしい力でゆっくりと押し込んでみましたが、かなりの硬さのものでも痛みを感じさせずに、取り除くことができました。

さらにそれだけではなく、筋肉の異常緊張も無くなってしまったのです。(その理由については、後日私の考えを書きます。)

オステオパシーには内臓疾患の診断、治療の両方に使えるチャップマン反射点というものもありますが、感覚的にはこれが一番近いのではないかと思います。

これは1920年代にアメリカのフランク・チャップマンD.Oによって、マップ化された、内臓疾患と体の特定の部位の圧痛との関連を示したものですがそこにはタピオカ状の小結節があり、治療にはしっかりとした押圧でもみほぐすという記述があります。

わたしは、これまで書いてきた様々な圧痛を発する部分は、実は全て同じものを別の名称で呼んでいるだけではないかという気がしています。

圧痛を発する部分には本来ならあってはならない、何らかの付着物があり、それを取り除いてあげれば、痛みは消え場合によっては他の関連する症状も消えるということです。

次回は、チャップマン反射点について少し詳しく書いていきたいと思います。