今回は、体の中にある2種類の液体、細胞内液、細胞外液について、そしてそこに溶けているミネラルの主要成分である、ナトリウムとカリウムについて書こうと思います。
人の体は中に核のある細胞と、その細胞をとりまく支持組織で出来ています。
細胞内液は文字通り細胞の中にある液、そして細胞外液は細胞の外にある血液、間質液、リンパ液などです。
細胞内液は体重の約40%、細胞外液は約20%、体重60kgの人なら約24Lの細胞内液と約12Lの細胞外液ということになります。
細胞内液と細胞外液の成分としては、糖、アミノ酸、タンパク質、脂質、各種ミネラルなど、多くの物質が含まれていますが、この2種類の体液の成分で大きく異なるのが、ナトリウムとカリウムの濃度です。
細胞内液はカリウムがナトリウムの約15倍の濃度、逆に細胞外液はナトリウムがカリウムの約20倍の濃度となっています。
もし、このバランスが崩れると体内でさまざまな問題が起こってきます。
例をあげますと
体内の浸透圧の維持ができない。これができないと最悪の場合、細胞が破壊されてしまいます。
体内のPh(通常は7.35~7.45)の維持ができない。
神経伝達がうまくいかなくなる。
細胞の栄養吸収がうまくいかなくなる。
などなど、多くの問題が起こります。
マクロビオティックを考えたのは桜沢如一ですが、その桜沢氏の考えの元になっているのは、明治時代の医師である石塚左玄の考え方です。
石塚左玄が明治31年に出版した「食物養生法」の中で、彼が最も重要視していたのが、食べ物に含まれる、ナトリウムとカリウムのバランスでした。
体液の組成からいっても、食物のナトリウムとカリウムのバランスをとることは必須条件ですが、石塚左玄は今から100年以上前に、その重要性に気づいていたことになります。
ちなみに、ナトリウムとカリウムがどのような食物に多く含まれるかですが。
ナトリウムを多く含む食品
食塩、肉、魚介類、乳製品、海藻類 など
カリウムを多く含む食品
穀類(特に全粒)、野菜類、果物類 など
となります。
日本は海に囲まれているという地理的条件、そして塩、味噌、醤油などの調味料をよく使うということで、日本人にナトリウムが不足することはまずありません。
不足することがないというよりは、圧倒的にナトリウムを摂りすぎている場合が多くなっています。
つまり、肉類を少なくして、穀類、野菜類、果物類を豊富に摂ることは、単なるイメージだけでなく、体内のナトリウム、カリウムのバランスをとり細胞を健康な状態に保つという、生理学的な面からみても理にかなっていることになります。
ネット上では、カリウムを多く摂取することによってナトリウムがたくさん排出されるので、カリウムをたくさん摂りましょうという文章を良く目にしますが、わたしが生理学書を読んだ限りではレニン、アンジオテンシン、アルドステロン、あるいは細胞のナトリウム-カリウムポンプでも、これを説明することはできませんでした。
この根拠を生理学的に説明できる方がいましたら、ご連絡ください。
断食をする際などに野菜ジュースを飲んだりしますが、なぜこれが必要なのかを次回は考えてみたいと思います。