前回は、細胞内液、細胞外液、そしてそれらの体液のナトリウムとカリウムの濃度の違い、更にそのバランスが崩れるとどうなるかなどを書きました。
それに関連して、今回は断食について少し書きたいと思います。
一口に断食と言っても、水しか飲まないもの、野菜ジュースなどを飲むもの、イスラムのラマダンのように昼間は何も食べないものなど、様々ですが今回は、現在日本でよく行われている断食中に野菜ジュースや人参ジュースなどを飲むジュース断食について考えてみたいと思います。
ジュース断食は、断食中に野菜ジュースなどを決められた量や回数で飲む方法ですが、この意味を私なりに考えてみました。
結論から言うと、一番の目的はカリウムの補給なのではないかと思います。
断食をすると、どのようなことが起きるかというと体液の膠質浸透圧(主にタンパク質の濃度)とミネラルの浸透圧(ナトリウムやカリウムなど)が低下してしまうため、それらを維持する必要があります。
そこで、この浸透圧維持のために私がいつも言っている結合組織内に溜まった沈着物(主な成分はタンパク質、ナトリウム、カルシウムなど---私に言わせると病気や体調不良の一番の原因です。--その根本は体液の循環不良ですが。)が細胞外液中に溶け出してきます。
私は断食をおこなう意味は、この沈着物の除去だと自分なりに解釈しています。
私はナトリウムに関しては数十グラムから100グラムオーダーで結晶化した状態で、間質に蓄積しているのではないかと考えています。
塩分を摂りすぎると動脈硬化になると言いますが、これも動脈の基底膜という部分にナトリウムが沈着して硬く、脆くなってしまうためと考えています。
タンパク質やナトリウムに関しては、このように間質に蓄積しているものが溶け出すことによって、その濃度を維持できます。
しかし、ナトリウムと同様に人が健康を維持していく上で欠かせない、カリウムに関しては、その95%は細胞内に水に溶けた状態で存在しておりほとんど体内での蓄積がありません。
しかも、カリウムは汗や便の中にも含まていますし、腎臓でも一旦、糸球体で濾過したカリウムを100%、再吸収することは出来ないため、尿としても少しずつ体外へと排出されてしまいます。
体内のカリウム濃度は、高すぎても、低すぎても非常に体にとって危険な状態を引き起こすため、必ず適切な濃度を維持しなければなりません。
そこで、野菜ジュースなどでカリウムを体内に供給することが必要になってくるのだと私なりに考えています。
以前にも書きましたが、マックス・ゲルソンの癌食事療法は食塩をいっさい摂らず、有機野菜のジュースを1日に何度も飲み、それに洗腸を組み合わせるものですが、ゲルソン療法を始めると最初の1~2週間大量のナトリウムとタンパク質が尿中に検出されます。
またエドガー・ケイシーのリンゴダイエット(ダイエットという言葉は日本では痩せることというイメージがありますが、実際には食事療法という意味です。)でも、数日間リンゴだけを食べますが、これも腸内の洗浄とカリウムの供給を同時に行っているのではないかと思っています。
エドガー・ケイシーに関してはそのうち詳しく説明するつもりです。
ちなみに、私の考えでは食事から完全に食塩を抜くのは2週間程度にしておいて、そのあとはある程度の食塩を摂った方が、逆に体内のナトリウムを排出しやすくなると考えています。
ある程度、体内のナトリウムが抜けると細胞外液のナトリウム濃度が低下します。
すると、浸透圧の関係で蓄積したナトリウムが細胞外液に溶け出すのではなく細胞外液中の水分が、沈着物の中に引きこまれてしまうのです。
これは、私の約3か月間のゲルソン療法の体験からです。
ですから、2週間程度の塩抜きの後は、ある程度食塩を摂った方が体内に蓄積したナトリウムは排出されやすいと私は思っています。
(漬物をつける際の、食塩水による呼び水と同じ原理です。)
次回からこの沈着物を取り除く方法を、順番に書いていこうと思います。