体内で毛細血管があるところの近くには、必ず毛細リンパ管もあります。
そして毛細血管から間質に出た血漿成分は、90%が静脈へ、残り10%が毛細リンパ管へ流入します。
下図をご覧ください。
毛細リンパ管の末端は閉じていて、リンパ管の膜は繋留フィラメントという細い線維で周囲の組織につながれています。
毛細リンパ管には開口部があり、間質の圧力が高まるとその圧で開き、間質液が流入して圧が低下すると閉じるようになっています。
そして、いったんリンパ管内に入った液体は間質には逆流しないような構造になっています。
毛細リンパ管の直径は、毛細血管の径(約4~9μm)よりやや太い程度ということが調べた結果わかったのですが、開口部の径がどのくらいなのか本などをいくら調べても見つかりませんでした。
結局、私が解剖学を習った早川先生に聞いたところ(先生は長年、リンパ系の研究をされてきた方です。)「直径は0.1μm(100nm)オーダーです。」という回答をいただきました。
小腸内にも乳ビ管という特殊な毛細リンパ管があり、脂質を血中へ運んでいます。
しかし、乳ビ管の開口部が脂質だけを選択的に吸収するような構造になっているとは考えにくいので、開口部周辺にある他の物質もこの開口部から、リンパ管、そして静脈から体循環へと流れていくのではないかと考えています。
私は食べたものが腸内で吸収されるには大きく分けて、3つの経路があるのではないかと考えています。
1、
一般的に言われているように、アミノ酸レベルまで分解されて血管から吸収される。
2、
タンパク質などの高分子の状態で腸内の毛細リンパ管(乳ビ管)から吸収される。
3、
ガスの状態まで分解され、拡散によって気体の状態で吸収される。
通常の人は1日に6~8リットルのガスが腸内で生成されていますが、一部の腸の働きの悪い人以外は、腸内で生成されているガスについて気にする人はいません。
つまりこの大量のガスは腸内で全て吸収されているということです。
前回の毛細血管、そして今回の毛細リンパ管のところをまとめると、腸内ではタンパク質などのかなり分子量の大きい物質も、毛細リンパ管(乳ビ管)を通して吸収される。
さらに、それらの高分子の物質は、毛細血管の開放端から体内のいたるところで間質に流れ込んでいる、ということになります。
これで、私なりの炎症というものを説明できる準備ができました。
次回は、打撲などの物理的な衝撃で何が起こるか、私なりの考えを書きたいと思います。