物理的に沈着物を除去する方法で一番良いのは、やはりオステオパシーでしょう。
マッサージなどでも、それなりに効果はあると思いますが、やはり効率が断然違います。
オステオパスは触診する時以外は必要の無い部分を触るようなことはしませんから、問診、視診、触診によって問題のある部分が特定できたら問題のある部分にしかアプローチしません。
またオステオパシーは脊柱だけに重点を置くのではなく、からだ全体をチェックしますので、問題を見落とす可能性が非常に少なくなります。
ですから、仮に同じ時間施術したとしてもマッサージや、脊柱だけに重点を置いた療法とオステオパシーでは効果が違ってきます。
今でこそオステオパシーの学校では手技のテクニックを学ぶ授業がありますが、創始者のA.T.スティルは解剖学と生理学をしっかり学べば病気の治し方は自分でわかるようになると、自分の生徒達には手技のテクニックをほとんど教えませんでした。
ですから、130年以上の歴史の中で歴代のオステオパス達は自分なりに試行錯誤を繰り返しながら、数々の方法を見つけて来ました。
例えば頭蓋治療の生みの親、ウィリアム・ガーナー・サザーランドは木の枠を自分の頭にかぶせ、それをボルトで締めつけて、締め付ける頭の部位によって、自分の体にどのような生理的な変化が起きるかを繰り返し試したそうです。
理学療法士や他の手技療法で使われているテクニックのかなりの部分は歴代のオステオパス達が考え出したものと言っても言い過ぎではないかもしれません。
オステオパシーには、大きく分けて2種類のテクニックがあります。
それは直接法と、間接法です。
簡単に言うと、ある組織の動きに制限がある場合、動きにくい方向に組織を動かして制限を取る方法が直接法、動きやすい方向に組織を動かして制限を取る方法が間接法です。
私なりの考えでは、
動きの制限を取る = 結合組織内の沈着物を除去する
ということになります。
アメリカオステオパシー協会編のオステオパシー総覧、あるいは「臨床におけるオステオパシーの原則」(いわゆるクチェラマニュアル)などのオステオパシーに関するテキストでは、あらゆるテクニックの説明は全て神経の反射で説明をしています。
例えば直接法の代表的なテクニックであるスラスト(組織に瞬間的な力を加えて矯正するもの)、そして間接法の代表的なテクニックであるストレイン・カウンター・ストレイン(SCS)、どちらも筋肉にあるα運動ニューロン、γ運動ニューロン、知覚神経のIa、Ib、Ⅱ線維などの神経反射を使って、その原理を説明しています。
しかし、これらの神経反射では靭帯や筋膜などの結合組織への作用を説明することが出来ません。
靭帯などの結合組織も、筋肉と同じようにスラストでもSCSでも緩めることができます。
これを直説法や間接法を使って、沈着した物質を体液の流れにより洗い流す(SCS)、あるいは物理的な衝撃で破砕して循環系に吸収させる(スラスト)と考えると、矛盾なく説明ができます。
この考えは、今現在あらゆるオステオパシーの教科書に書いてある事とは全く違うため、受け入れられない方も多くいると思いますが私は、現在もこの考えにもとづいて施術をおこない非常に効果が出ています。
ですから、今後もこの考えに沿って施術を続けていくつもりです。
今回書いた内容は、今までに読んだ他の手技療法関係の本でも見つけることはできませんでしたが、もし同じようなことが書いてある本を知っている方がいましたら、ぜひ教えてください。
私には今のところ、これ以外の考え方では自分がやっていることをうまく説明できないため、現在のオステオパシーの常識とは違うことを敢えて書かせていただきました。
次回は化学的な方法について書きたいと思います。