炎症とは(真野説)(2)

炎症とは(1)では、北海道の酪農家の話を書き、体内でこれと同じようなことが起こっているのではないかと言いましたが、今回はその続きです。

繰り返しになる部分もありますが、まずは一般的な炎症の定義、炎症の5大徴候、炎症の経過を書きます。

「炎症とは外来性、または内因性の侵襲に対する局所ならびに、全身的な 生体の防御反応であり、治癒までにいたる過程を示す。」

炎症の5大徴候

1、腫張

2、発赤

3、発熱(熱感)

4、疼痛

5、機能障害

炎症の原因としては

物理的:

打撲、外傷、熱、紫外線など

化学的:

酸、アルカリ、

生物学的:

細菌、ウイルスなど

炎症の経過

第1期:

循環障害と液状成分の浸出(血管拡張、血管透過性亢進、浮腫)および二次的退行性変化(壊死)

即時反応:

直後から30分以内、ヒスタミンが関与

遅延反応:

30分から5、6時間、ブラジキニンやプロスタグランジンが関与

 


第2期:

血球の浸出および二次的退行性変化

 


第3期:

細胞増殖、修復、再生

 


以上が、一般的な病理学書などでの炎症の説明です。

次に私が考える炎症の経過を書きたいと思います。

例として足首の捻挫を考えてみましょう。

1、

階段を踏み外すなどして、足首をひねってしまう。

2、

足首の部分の組織(靭帯、筋肉、毛細血管など)に微細な損傷が起きる。

3、

足首周辺の細胞、結合組織などが損傷すると、そこに繋留フィラメントで繋ぎ止められていた毛細リンパ管は、支持するものが無くなり、水中を漂うような状態になる。

その結果周囲の液圧でつぶれてしまい、開口部から間質液を吸収できなくなる。

4、

細胞が損傷するということは、細胞内あるいは細胞を構成するタンパク質、また、結合組織が損傷すると構成成分のコラーゲン繊維のかけら、さらに物理的な衝撃により間質のプロテオグリカンが破壊されるなどして、大量に間質に各種タンパク質が放出される結果となる。

5、

しかし前述のように毛細リンパ管は宙に浮いた状態になっているために、それらの物質を吸収することができない。また血管も孔が小さすぎて、タンパク質のような分子量の大きなものは吸収できない。

6、

その間も心臓は、血液をその部分に送り続けるために、どんどん間質に動脈血が溜まっていき、捻挫をした部分は赤くなり、大きく腫れることになる。

7、

血液やタンパク質を多く含んだ間質液が捻挫部分でうっ滞すると、酵素の作用で発酵現象が起きてタンパク質を分解し、その際に分解熱を放出する。

8、

分解されたタンパク質は、血管孔からの吸収、あるいは皮膚表面からの蒸散により徐々に減少して、腫れ、発熱などが収まって回復へと向かっていく。

9、

軽い捻挫なら、その後の修復過程を経て後遺症は残らない。

しかし組織の損傷がひどい場合、酵素が分解しきれないタンパク質が結合組織内に沈着してしまう。一度循環系の圧によって洗い流せないほどの沈着物が溜まると、その部分には徐々に沈着物が増えていき、捻挫から何年も経ってから、痛みやしびれなどが発生する。

10、

結合組織内に沈着物が増えると、足首の関節の可動性も悪くなり、また周囲の血管、神経の圧迫なども起きて、その結果、足首だけにとどまらず体の他の部分にも悪影響を与える。

11、

また沈着物は、時間が経つほど凝集、結晶化して硬くなるために取り除くのにも時間がかかる。

 


以上が、私が考えたヒスタミンなどの化学伝達物質の関与を一切考えない炎症の経過です。